超臨界流体を用いたナノ材料創製ならびに微細埋め込み
超臨界流体とは,物質がその臨界点を超えた状態のことを言います.超臨界流体は,液体並みの高い密度と気体並みの高い拡散性を特徴として有しています.これらの特徴は,電子部品の小型化,高機能化に必要であるマイクロ・ナノサイズの微細構造の中に効率よく材料を配置したり除去したりするために役立ちます.例えばこれまで本研究室では,超臨界流体を用いてアスペクト比(縦横比)が133の屈曲貫通孔側壁へのCuコーティングに成功しています.このような成果を応用すれば,据え置き型ゲーム機をスマートフォン以下に小さくすることもできると期待されます.このように近藤研究室では,超臨界流体を用いた次世代マイクロ・ナノエレクトロニクス材料やその製造手法の開発に取り組んでいます.
超高アスペクト貫通孔.
エリプソメトリ法を用いたナノ材料形成過程の解明
エリプソメトリ法は,光を試料に照射して反射光を測定することによって,試料表面に形成されたナノ材料の厚さや屈折率などを知ることができる手法です.非破壊,非接触,高速測定が可能であるため,材料形成過程のその場観察に適しています.これまで本研究室では,超臨界流体中における金属薄膜堆積過程や水洗浄中の金属の表面状態などを明らかにしており,これらの成果は学術論文誌の注目論文にも選出されました.このような基礎的な研究は学術的に興味深いばかりではなく,工業製品の高性能化や生産性の向上にも役立ちます.
薄膜/基板積層構造の密着性向上に関する検討
半導体チップの高性能化技術として三次元化が注目されています.異なる機能の部品をマンションのように積み上げていくのです.このような積層構造の信頼性を向上させるのに大切なことは層間を確実に接合することです.これまで本研究室では,一般的に密着性が悪いと知られているガラス基板とCu薄膜の密着性向上に取り組み,常温で密着性を向上させることに成功しました.このような成果は,積層構造の寿命向上や省エネルギー化に貢献できると考えられます.このように近藤研究室では,高信頼性積層構造の創製プロセスの開発やメカニズムの検討に取り組んでいます.
生体を用いた配線形成の高効率化
粘菌は動物的な性質と植物的な性質を併せもつ不思議な生物で普通の山野に生息しています.分枝という「足」を電線網のように効率的に配置するコンピューティング能力があるので,それを活用できれば電子部品の内部配線の高効率化が可能です.望み通りに粘菌を動かし,電気を通すように働かせるための検討を進めています.