ニュートンの万有引力の法則を実験で確かめてみました

高校向け理科教材の開発を目標に活動している”ティーチ・サイエンス” の活動報告 第2回です.

あらゆる物と物の間には引き付け合う力が働いています.ニュートンにより1665年頃に発見され,万有引力と呼ばれています.りんごが落ちる様を見て思いついた,という伝説がありますね.ニュートンは万有引力を,ただ一つの定数「万有引力定数」を用いて表せることを示しました(詳しくは記事の最後をご参照ください).

1798年にキャベンディッシュが行った万有引力の測定は,大学1年の講義「初等力学」の教科書にも掲載されています.でも,その測定を実際に行ったことがある方はとても少ないです.今回,”ティーチ・サイエンス”では,キャベンディッシュの実験をまねた市販の装置を用いて万有引力定数を実験から求めてみました.

万有引力定数測定1

除振台に実験器を載せて、慎重に準備をしています。
とても微妙な実験装置で、振動が収まるまで数時間を要するので、
しくじらないようにと真剣な眼差しです。

万有引力定数測定2

ねじりばかりの反射鏡で反射したレーザー光線を壁に貼ったグラフ用紙に投影し、
時間とともに変わるねじれの変位を記録しています。

万有引力定数測定3

グラフ:周期測定
ねじれ振り子の周期測定から計算した万有引力定数は、実際の値に比べ約4%の誤差でした。

実験を行った感想:

実験操作は鉛球を動かして鏡に反射した光を記録するとても簡単な操作でした。実験する前は本当に測れるのか疑問に思っていた。実験は測定するより待つほうが長かったですが、期待通りの結果が得られたので感動しました。本当に物体間には万有引力が働いているのだなと改めて気づかされました。

普段当然のように見えている現象やなんとも思わないような出来事を改めて観察してみると、驚くことがまだたくさんあると思うので、次の実験でも新鮮な気分を感じながら取り組みたいと思います。


●「万有引力定数」とは

ニュートンによれば,質量Mの物と,質量mの物が距離rだけ離れている時に互いに働く万有引力Fは次の式の関係を持ちます.

ここでGが今回調べる万有引力定数です.
この万有引力定数を求めるには,質量の分かっている2つの物の間の万有引力を正確に測定する必要があります.1798年にキャヴェンディッシュは,大きな鉛球と小さな鉛球の間の万有引力を正確に測定することに成功しました.この結果をもとに万有引力定数が計算されました.

万有引力定数については下記サイトもご参照ください.
wikipedia-万有引力定数


“ティーチ・サイエンス”の活動についての過去の記事
https://www.szr.yamanashi.ac.jp/archives/1236

* 人物写真については、本人の承諾を得て掲載しています.
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